子どもたちに大人気のシリーズ「かいけつゾロリ」をご存知でしょうか?
1987年からシリーズが始まって、30年以上も続くベストセラー、累計発行部数は3500万部を超えるというから、そのすごさが分かります。
本屋さんに行っても、シリーズの本がたくさん平積みされていて、いつも子どもたちが読んでいます。
図書館でもずっと貸出中。読みたいおはなしを見つけられたらラッキーというほどの人気ぶりです。
東大生にとったアンケートでは、「子どものころに読んだ」、「今の子どもたちにも読んでほしい」とする結果が90%以上という結果だったそうです。
どんなおはなし?
いたずらの王者をめざして修行の旅を続ける「ゾロリ」と弟子の「イシシ」「ノシシ」が繰り広げる、ユーモアいっぱいのハラハラいたずら大冒険ストーリーです。
ゾロリのお話は展開がはやくて、次々と事件がおきたり、ピンチに追い込まれたり。でも、いつも意外な方法で窮地を脱出します。
ゾロリは発明が得意で、がらくたからすごいメカを作ってしまいます。ドラゴンやゆうれいせん、潜水艦や大入道ぬいぐるみメカなどなど……。
そして、作ったメカの面白い機能を本の中で詳しく説明しているので、子どもたちの創造力が刺激されます。
ゾロリのお話は、地面の下や海中、体の中や天国・地獄までいろんな場所で展開されます。
お話を読んでいくと、地層の知識(258万年まえの地層でマンモスの化石がみつかったとか)や、深海にはどんな生物がいるのかなど、いろいろな知識を学べます。
ゾロリは、一生懸命いろんなことをするんですが、毎回うまくいかないんです。
でも、最後はまた明るく旅に出るので、読んでる方も明るい気持ちをもらえます。
大人にしか分からないギャグが入っていたり、細かい隠し絵が仕込まれていたり。
それらを教え合ったりして、親子の楽しいコミュニケーションがとれるのも、ゾロリの本の良さです。
本嫌いな子も読めちゃう本
大きな挿絵が入っているものの、マンガではなく、字がメインの本なのに、子どもたちがスラスラ読み進められるのは、子どもを飽きさせない構成になっているからです。
ページの最後には、「そのとき……」、「すると……」、「目のまえには……」など、続きが気になる言葉がつづられ、どんどん読み進めてしまうドキドキの物語に、ダジャレやゲーム、遊びの要素が取り入れられています。
本が嫌いで読めなかった子どもたちが、初めて最後まで読むことができたという声も多いそうです。
ゾロリシリーズが読めたことで自信がついて、他の本にも興味が持てたという、絵本と字の本をつなぐ魔法の本なんですね。
作者の原ゆたか先生
作者の原ゆたか先生は、子どものころ読書が嫌いだったそうです。
本のおもしろさも、本が嫌いな子どもたちの気持ちも分かる原先生だからこそ、子どもたちがおもしろいと思う本が書けるんですね。
ワクワクさせて一気に読ませる書き方が素晴らしいです。
「本嫌いの子を本好きにする」作者の遊び心
かいけつゾロリは、ゾロリたちがいたずらの旅をしているのですが、原ゆたか先生も読者にたくさんのいたずらを仕掛けているんです。
原先生自身が、ときどき本のすみに出てくるので、隠れキャラ的で見つけると嬉しいです。
ゾロリや作中の登場人物が読者に話しかけてくることもあるので、自分もゾロリと一緒に冒険をしているようにワクワクして、物語に引き込まれます。
他にも、本のカバーと表紙の絵が違っていてクイズと答えになっていたり、2つの本を並べると絵が続いていたり。
背表紙の絵がつながっていたり、4冊並べると作者の顔が出てきたり。
見返しやソデに四コマ漫画が入っていたり、ジグソーパズルになっていたり、迷路やクイズ、かくし絵もたくさん散りばめられています。
暗いところで見ると何かが光ったり、ゾロリパパの赤い飛行機が飛んでいたり。
小学生が好きな「おなら」を使って危機を脱出したり、ちょっと(というか、結構)お下品なところもありますが、そこも含めて成長していってくれたらと思います。
登場するキャラクターって?
ゾロリは、もともと「ほうれんそうマン」というお話の悪役で、アンパンマンの悪役「バイキンマン」のようにやっつけられて、「今度こそやっつけてやる! いまにみてろよ~」的なキャラクターでした。
変装と発明が得意で、博学なのに、おっちょこちょい、とぼけたキャラクターが子どもたちに愛されている理由だと思います。
そして、ゾロリを尊敬し一緒に旅する双子のイノシシ「イシシ」と「ノシシ」。
ゾロリのために一生懸命働きますが、かなりマイペース。
だいたいいつも失敗してしまうけど、気にしないほのぼのキャラです。
その他、ゾロリママやパパ、妖怪学校の先生たちなど、個性豊かなキャラクターがお話のあちこちにたくさん登場するので、「あっ、このキャラクター知ってる!」というのも、おもしろさの一つです。
おすすめのおはなし
かいけつゾロリのおはなしは、60冊以上も出ています。数あるおはなしの中でも、特におもしろいおすすめのおはなしを紹介します。
まずは、なんといっても、1作目の『(1)かいけつゾロリのドラゴンたいじ』です。
はじめのころのゾロリはとっても悪いやつです。
山賊だったイシシ・ノシシと意気投合して、おでん屋さんを襲っておでんを食べてしまいます。
シリーズの前半では、悪いことをしよう、意地悪をしようと悪い心全開で悪役ぶりを発揮します。
でも、コミカルでおもしろい内容なので、そんなに極悪非道というわけではないですが。
それが、『(63)かいけつゾロリのドラゴンたいじ2』では、長い修行の旅のおかげか、むっちゃ正義の味方になっています。
イシシ・ノシシたちも髭が薄くなって可愛らしいキャラクターに。ちょっと最後には、感動してうるっときてしまうくらい、いいおはなしで合わせておすすめです。
しかも、この2冊の本の表紙を並べてみると、絵がつながっているんです!
ドラゴンたいじ2の裏表紙とカバーにも仕掛けが。ほんと、おすすめです!
その他のおすすめのお話はこちらです。
(15)かいけつゾロリ つかまる!!
→意外なストーリーだったり、作者が出てきたりでおもしろいです。
(25)かいけつゾロリのきょうふの宝さがし
→表紙も裏表紙も暗いところで光ります! なんと、本の中のどこかにも光る場所が!
(31)かいけつゾロリのてんごくとじごく
→ゾロリママの愛に感動です。地獄のことも分かっちゃいます
(32)かいけつゾロリのじごくりょこう
→大人には分かる有名人が、おやじギャグを連発してます
(36)かいけつゾロリ たべられる!!
→肺や胃・腸、血管など、体のしくみが分かります。
(47)前編 かいけつゾロリのだ・だ・だ・だいぼうけん!
→映画にもなりました。2冊の表紙と背表紙の絵がつながっています!
(48)後編 かいけつゾロリのだ・だ・だ・だいぼうけん!
(61)かいけつゾロリのかいていたんけん
→裏表紙に魚へんの漢字クイズが。おやじギャグがヒントです。
(62)かいけつゾロリのちていたんけん
→地中からとれる資源(石油・石炭)の説明や地層に詳しくなれます。
付録が楽しい
かいけつゾロリは、図書館や学校で借りることも多いですが、最近の初回限定の付録がおもしろいです。
ゾロリとイシシ・ノシシのフィギュアが付いていたり、ゾロリサイコロとゲームがついていたり。
『かいけつゾロリのドラゴンたいじ2』には、ネジをまわすと歩く「トコトコドラゴン」がついてきました。
ゾロリは、夏(7月)と冬(11月か12月)に発売されているので、この時期になったら新刊をチェック!
最新刊が発売されたら、すぐに買うのがおすすめです。
まとめ
数あるゾロリシリーズの中から、特に素晴らしい作品を紹介しました。
今回 紹介した作品以外にも、素敵なお話がたくさんあるので、お子さんと一緒にお気に入りのお話を見つけるのも楽しいですね。